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執筆者の写真眞蔵 修平

2022年度 公演挨拶全文

公演当日、息子が熱を出したら、保育園に預けることができなくなり、私自身、公演会場に行けなくなる可能性があったので、舞台挨拶の内容を文章化し、みゆ先生に渡していました。もしものとき、私の代わりに読んでもらうためです。



普段、人前で話す際、ここまで細かく文章化することはないのですが、せっかくなのでブログ記事として残しておきます。




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教育プロデューサーの眞蔵です。


子どもたちの公演前に、大人がこうやって挨拶をするのが、いかに野暮であるかってことは重々わかってはいるんですが、うちの教室は公演を見てもらって「はい、おしまい」という教室ではなく、その制作過程にこそ重点を置いているので、この1年間でどういう作品をどうやって作ってきたかってことを、少しお話しさせてください。





2022年の2月24日に、ロシアのウクライナ侵攻が始まり、今年度は戦争と平和について、目を背けることのできない一年となりました。





この混沌とした世界情勢の中で、子ども達と一緒に、戦争と平和について考えるにはどうしたらいいだろうかということを考えました。





そんなときに頭に浮かんだのが、先程、開場後に見て頂いたワールドピースゲームです。





動画が見れなかった人のために、説明しますと、ワールドピースゲームとは、アメリカの小学校教師だったジョン・ハンター氏が考案した世界の課題解決型シミュレーションゲームです。


教師だったジョンハンターは、世界で起こる様々な危機を、子ども達にいかに自分事としてとらえてもらうか、そして、押し付けではなく、いかに楽しんで学んでもらうかってことを考えていました。


実際のワールドピースゲームは、教室の中心に、世界を見立てたボードを置いて、大体学校の一クラスぐらいの人数で、5日間かけて行われる、結構規模の大きいゲームです。





ゲームの一番最初に、子ども達は大人から世界を託されます。「君たちに引き継ぐはずの世界を、こんな悲しい状態にしてごめんね」と。「大人たちではどうすることもできないから、どうかあなたたちが世界のリーダーとなって、世界を救ってください」と。





世界を引き継ぐことになった子ども達は、それぞれの国の首相や国連、世界銀行といった様々な役割を与えられ、正解のない問いと向き合い、様々な立場の人と議論しながら問題解決を目指していきます。





実際にこのゲームをやった子どもたちが大人になって、今、国連で働いたりしてるそうです。





そして、今回、このワールドピースゲームをミュージカル化する上で、協力してもらった方を紹介させてください。


先ほどのテッドトークを見て感銘を受け、単身アメリカに渡り、ジョンハンターと直接交渉して、日本に初めてワールドピースゲームを持ち込んだ方です。「一般社団法人ワールドピースゲームジャパン代表理事」の谷口まりかさんです。今回の公演は、まりかさんのご協力のもと成り立っています。





話をもどしますね。


ロシアのウクライナ侵攻をニュースで見て、このワールドピースゲームを、ミュージカルにできないかというのが、一番最初のきっかけでした。





ただ、ミュージカルにするうえで、一番私の頭を悩ませたのは、脚本化してしまうことで、「自分たちで考える」部分がなくなってしまうことでした。





大人が書いたシナリオ通りに子ども達が演じたところで、教材としての魅力はあまりありません。できるかぎり、子ども達に世界平和について考えてもらう時間を作りたい。だけど、うちの教室はあくまでミュージカル教室なので、そこに割ける時間はさほどありません。





最終的に辿りついたのは、私が世界の様々な危機を、物語形式で展開を作りながら提示し、最後にどうやって解決するかについては、子ども達と対話しながら決めていくという形でした。


当然、このメンバーでなければ到達できなかったラストシーンです。


本当に、子ども達の感性は素晴らしく、私なんかでは思いつかないようなドラマチックなラストとなっております。


ただ、もちろん子ども達が考えたラストなので、大人からすると、もしかしたら「いや、そんな簡単にはいかないよ」って意見も出てくるとは思います。だけど、子ども達が現時点で出した答えの一つですので、温かく見守っていただけると助かります。





ミュージカルにしたことによる最大の魅力は、感情にフォーカスしながら世界平和について考えることができる点です。


「原発問題が起きました」「民族紛争が起きました」「原油流出事故が起きました」と、ただ言葉によって世界の危機を捉えるのではなく、役を演じることで、世界の危機をちゃんと擬似体験し、時には怒り、時には悲しみ、自分事として捉えながら解決策を考えることができます。





また、物語の中で、赤の国、青の国、緑の国の三国が出てくるんですが、このチーム分けも、脚本練習に入る前の8月ごろに、子ども達との話し合いの中で決めました。もちろん、それ以降に入会した子は、その話し合いに参加できなかったんですが、ロシアとウクライナの情勢を話し、できるだけフラットな情報を与えたうえで、「日本は核兵器をもったほうがいいと思う?」という問いを子ども達に投げてみました。





もちろん、低学年の子もいるので、核兵器といっても、あまりピンとこないかもしれません。そこでピストルにたとえてみました。





日本という国は今、銃を持つことを禁じられているけど、もし自由に持っていいよってなったら、持ちたいと思う?


この段階では、首を横に振る子がほとんどです。


銃を持つことが自由になったら、銃をもって強盗に入る人も増えそうな気がするけど、もし君たちの家に強盗が入ってきたとき、身を守るために銃を持っておこうって気にならない?


もしかしたら、銃を持っているってことを普段からアピールしておけば、それだけで強盗に入られなくなるかもしれないし、学校の友達からいじめられる心配をしなくてもよくなるかもしれない。


ここまで話と、あぁそうかもと反応する子が少しずつ出てきます。


でも、やっぱりそんなの嫌だから、銃は規制されてるほうがいいよねという意見も出てきました。





日本は人類史上、最も平和な国と言われています。


実際、日本は銃を規制されてるんですけど、規制されてるからこそ、こっそり銃を持っている人もいます。


何より、日本の警察は、犯罪者に立ち向かうために銃を所持しています。





つまり、人類はいまだかつて、武力のない平和には到達できてないんですよね。





ここから少しずつ、核兵器の話に戻っていきました。





そしたら、世界でも警察に似たような機関をつくって、そこだけが核兵器を持てばいいんじゃない?という意見を出した子がいました。





いい意見ですね。





だけど、世界にはいわゆる法律というものがありません。国際法というものはありますが、それは国家間で協定や条約を結んだら、それをむやみに破っちゃいけませんよという約束事であって、全ての国に共通する法律ってものはないんですよね。


なので、警察みたいな機関を作ることも難しいです。何より、どこかの国が警察の役割をしたとして、核を保有した場合その国が暴走しないともかぎりません。





だけど、ピストルと同じで人を殺すためだけに作られた道具を、自分の国が持っているって、なんか嫌な気持ちもあるよね?





さぁ、どうしよっか?





うちはミュージカル教室なので、あくまでミュージカルの技術指導がメインの教室です。なので、この対話にはそれほど時間をとれなかったんですが、その少ない時間の中で、一旦子供たちに答えを出してもらいました。





核兵器をもったほうがいいと思う?





そこで、「持ったほうがいいかも」というほうに手を挙げた子ども達を、物語の中の核保有国に、「持たないほうがいい」に手を挙げた子ども達を非保有国にキャスティングしました。





実際に、脚本練習に入った約半年間の間、核保有国と非保有国の役割を体験してきました。もしかしたら今、同じ質問をしてみたら、「やっぱりもったほうがいいな」とか「もたないほうがいいな」とか、意見が変わってるかもしれません。





今日の公演が終わったら、4月のレッスンの際にも、改めて聞いてみようと思います。





さて、ここまで小学生クラスの公演の話をしましたが、その前に10分ほど、幼稚園クラスの発表があります。幼稚園クラスは1月に開校して、まだ3か月しか経っていません。また、今メンバーは3人にまで増えたのですが、入会のタイミングなどもあって、今日、舞台に立つのはその中の1人だけです。想像してみてください。みゆ先生と一緒とはいえ、ミュージカル経験3か月の4歳の子が、今日初めて舞台に立ちます。


もしかしたら、直前で怖気づいて、舞台に立てないなんてこともあり得ます。


どうか、どんな状況になったとしても、温かく見守っていただけると助かります。










<著者プロフィール>


眞蔵 修平(まくらしゅうへい)


株式会社Lennon's Loupe 代表取締役CEO / 教育プロデューサー / 学習環境デザイナー / メンタルコーチ / 平本式認定心理カウンセラー 【プロ】/ 教育漫画家


立命館大学理工学部卒業後、公立中学校に赴任。教育現場の劣悪な環境に違和感を感じ、外側から教育現場を変える様々な活動に参画。2015年より、様々な教育系企業と関わりながら、自身の創作活動やコーチングスキルを教育現場と結びつける活動を開始。


多様性を認め、誰も苦しまなくていい環境、誰もがのびのびと生きていける環境を、教育現場を超えて提案していきたい。詳細はコチラ。



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2022年度公演写真

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